【玄人建築士向け情報】強く、安心で、住み心地快適な木造建築について

kaorruは、平成元年4月から平成8年2月まで、木造注文住宅のトップメーカーである住友林業株式会社(当時は住宅事業部)に勤めていて、宮城県や福島県を中心に150棟を超える木造住宅建築の工事監理、住宅の引き渡しを行って参りました。

当時は画期的だった、コンピューター支援設計システムCAD(computer-aided design)が、大型汎用コンピューターにより稼働していて、木の部材の断面寸法を決める構造計算も自動で行われ、その木造架構に最適な木部材が計算されておりました。

そのデータを設計担当者(CAD担当)がチェックし、確認後、データをブレカット工場に送られ、製材と組み合わせる仕口の加工も自動的に行われておりましたので、とても安心できる構造設計・木造施工となっております。

一方、昔は、大工さんの勘で、木製梁の断面寸法を決めていたとのことでしたが、平成20年に自宅の設計をする際には、自分で構造計算算定式をExcelに入れて、各部材毎の構造計算の確認を行いながら、住宅設計を進めていきました。

皆さんは、木造建築の二階の床を歩く時、ふわふわしたりと不安を感じたことはありませんか?kaorruは、某庁舎の二階床を歩く時、とても不安を感じます。

その理由のひとつとして、

木造建築の設計では、梁に生じる最大の曲げ応力度が、①曲げ強度(許容曲げ応力度)以下かつ、②梁に生じる最大のたわみ(材の中心部がしなること)が許容値以下でなければならないとされており、部材一つ一つをチェックすると、通常は①>②であるが、梁の掛け方によっては、②>①の場合も想定される場合もあるので、設計者に住宅設計を依頼する時は、「曲げ応力度」と「たわみ」を同時にチェックして下さいと、確認の意味で念を押してお願いした方が、より安心な住まいに繋がっていきます。

また、②の最大たわみの許容値としては、通常、変形量は法定値として、スパンの1/250以下となっていますが、より快適な居住性能を確保するためには、変形量について、スパンの1/500以下かつ梁の変位量20mm以下とすることも大切です。(これも設計者の方に、念を押してお願いして下さい)

kaorruが某庁舎の二階の床に不安を感じるのは、上記のチェックがあまかったのではないかと思います。安全性は十分確保されていると思いますが・・・

ということで、とても玄人向けの内容になってしまいましたが、住宅は家族にとって、とても大きな買い物でありますので、強く、安心で、住み心地快適な木造住宅をゲットするためへのポイントとして、心の片隅に入れておいて頂き、設計時に設計者に助言して頂けると幸いに思います。